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2023/9/22
プライバシー保護の強化が図られ、個人情報の取り扱いが慎重になる中、消費者のニーズを把握する方法として注目が集まるゼロパーティデータ。
いったいどういうものなのか、その特徴や、求められている社会的背景・顧客意識の変化等について説明します。
実際の活用事例と活用の際のポイントについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ゼロパーティデータ(zero party data)とは、顧客が意図的・積極的に企業と共有するデータのこと。
元々は、アメリカの調査会社であるForrester Researchが提唱した概念であり、2020年ごろから注目されるようになりました。
具体例としては、顧客に同意を得るアンケートやヒアリング情報等があります。

ゼロパーティデータ似た言葉としてファーストデータやセカンドデータ、サードパーティデータがあります。
それぞれの特徴と具体例は以下の通りです。
(ゼロパーティデータ)
・概要:顧客が意図的・積極的に企業に提供するデータ
・例:顧客に同意を得るアンケート、ヒアリング情報等
(ファーストパーティーデータ)
・概要:自社が顧客から直接収集したデータ
・例:会員登録時に顧客が入力した個人情報、購買履歴、Web行動データ等
(セカンドパーティーデータ)
・概要:パートナー企業が顧客から収集したデータ
・例:cookieの情報、金融資産や収入等の自社では収集が難しい情報
(サードパーティーデータ)
・概要:第三者機関が顧客から収集したデータ
・例:人口統計情報、企業情報等
以上のことから、ゼロパーティデータとファーストパーティーデータは、どちらも「企業が顧客から収集したデータ」という共通点があるものの、ゼロパーティデータは「顧客が自ら提供するデータである」という点が、ファーストパーティーデータと異なる点としてあげられます。
つまり、ゼロパーティデータの「顧客自らデータを提供する」という特徴を活かして、従来のデータでは抽出できなかった「顧客の状況やライフスタイル等」を分析し、従来よりも更にパーソナライズ化したサービスや顧客のロイヤリティを向上させることが可能となるのです。
このことから、ゼロパーティデータは、顧客の趣味嗜好や興味関心の情報が含まれる顧客インサイトの宝庫とも言われ、マーケティング分野等で注目が集まっています。
ゼロパーティデータが求められている背景として
プライバシー保護の強化
消費者の意識変化
顧客ロイヤリティの強化
などが挙げられます。
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
(プライバシー保護の強化)
近年、各国で消費者のプライバシー保護の強化が図られるようになってきました。
それに伴い、今後、自社保有のファーストパーティデータ以外(セカンド/サードパーティーデータ)は、制限が強まっていくということが予測されます。
実際に、Apple社は、Webブラウザの「Safari」でサードパーティのCookieを廃止しており、Googleも2023年半ばから、「Chrome」経由でのCookieのサポートについて段階的に廃止する予定であると発表しています。
そんな中、自社で保有し、個人情報やプライバシーを保護しながら収集できる、ゼロパーティデータ、および、ファーストパーティーデータによる収集の重要性が高まっているのです。
(消費者の意識変化)
データ提供に関する消費者の意識の変化も、ゼロパーティデータが注目されだした要因の1つ。
例えば、チーターデジタル社が実施した消費者向け調査によると、「ブランドサービスの向上と引き換えなら、自分のデータを提供しても構わない」と回答した消費者は55%、「先行販売のお知らせや会員限定商品への案内を受け取れるなら、進んでデータを企業に渡す」と回答した消費者は86%に上りました。このことから、「更に良いサービスを体験することができるのであれば、積極的にデータを提供する」という消費者が増えてきていることが分かります。
つまり、消費者の課題・ニーズを詳細に分析するためのゼロパーティデータが重要である、といえるわけです。
(顧客ロイヤリティの強化)
顧客ロイヤルティの強化、もしくは、サービスの更なるパーソナライズ化のために、ゼロパーティデータが有効であるとされています。
従来のファーストパーティデータからサードパーティーデータを用いた顧客のニーズ・趣味嗜好の分析、および、サービスの改善は多くの企業が既に実施しているもの。
そのため、更なる差別化を図るためには、ゼロパーティデータの活用が不可欠になっているのです。
多くの企業が、顧客に今まで以上のサービスを提供する段階に入りつつあることも、ゼロパーティデータに対する注目を集める要因になっているといえます。

多くの企業でゼロパーティデータの活用が始まっていますが、ここでは、2つの企業におけるゼロパーティデータの活用事例をご紹介いたします。
(金融:カナダビジネス開発銀行)
カナダビジネス開発銀行では、個人に合わせた金融サービスを提供するためにゼロパーティデータを活用しています。
例えば、同社のWebサイトでは、トップページに「あなたのビジネス目標は何ですか?」というアンケート項目に対して、「自分のお金の管理」、「自分に合ったローンを見つける」、「新規顧客獲得」等の選択肢が用意されています。
回答した内容に合わせた質問が次々に表示され、いくつかの質問に回答すると、顧客のニーズに合わせたサービスを提示する仕組み(「自分に合ったローンを見つける」を選ぶと、ローンの組み方に関するコンテンツが表示 等)。
ゼロパーティデータで個人に合わせた金融サービスの提供を実現している事例であるといえます。
(アパレル:ラコステ)
アパレルブランドのラコステでは、販売拡大に向けた戦略立案のためにゼロパーティデータを活用しています。
具体的には、同社のECサイトで、「ポロシャツの着用シーン」、「チャレンジしたいポロシャツの色」等のアンケートを行い、消費者に回答してもらうことで、消費者個人の好みの色やスタイルに合わせた提案を可能にするデータを取得。
「長袖ポロシャツに関するアンケート」を実施した際には、従来の2倍以上の反応率が得られたとしています。
ゼロパーティデータを活用するためのポイントとして
目的・手段・収集対象のデータを設定する
「顧客の負担を極力下げる」、かつ、「求める回答を得る」ための設計をする
ということがあげられます。
1つずつ見ていきましょう。
(目的・手段・収集対象のデータを設定する)
まず、「どのような目的、手段、そして、どのようなデータを集めるのか」を設定することが重要になります。
目的は、現状や問題点の把握、サービスの改善、新サービスの開発等が、そして、手段は、「アンケート、ヒアリング」という方法論だけでなく、「割引、特典、プレゼント付きのアンケートにするのか」という回答者へのインセンティブを検討することが必要となります。
取集対象のデータは、業界・業種によって異なるので、「どのデータがあれば目的をスムーズに達成できるのか」を検討し、集めるべきデータは何かを設定してください。
また、顧客に不信感を持たれることなく、良好な関係を築きながら顧客の本音を引き出すため、顧客へこれらの目的、手段、データは顧客に提示するようにしましょう。
(「顧客の負担を極力下げる」、かつ、「求める回答を得る」ための設計をする)
ゼロパーティデータの収集には、顧客の協力が欠かせません。
そのため、データを提供することが、顧客の負担になることを避けることが重要になります。
具体的には、回答時間や回答数を考慮して内容を決めることが重要だということ。また、顧客が手を抜いて回答してしまうと、収集したかった回答内容にならないという結果に終る可能性もあります。したがって、回答の精度を上げるための施策も検討する必要があります。
例えば、選択式ではなく、記述式にすることで詳細な意見を得ることができます。また、「一定の文字数以上の回答をしてくれた顧客に対しては、何かしらのインセンティブを提供する」等、顧客にとってデータ提供のモチベーションを上げる施策を検討することも効果的と言えます。
顧客が自分自身の趣味や趣向、興味や関心といった情報を自分の意志で企業と共有するゼロパーティデータ。
この情報を手に入れることが出来れば、顧客に提供するコンテンツやサービスを考えるための戦略を立てることができますが、このゼロパーティデータの質は顧客の本音を引き出すために設問を設計することが不可欠です。
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